Hさんの古民家(山口市) of 一般社団法人おんなたちの古民家

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昔は「ただの古い家」・・・今は「守っていきたい!」
築96年の古民家を維持・山口市のHさん

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古民家オーナー:Hさん(山口市・49)・・・雨の降る日、古民家の縁側に座ってゆっくり本を読んだり、寝転がってぼ~っとする時間が好き。趣味は庭仕事。

Hさんのひいおじいちゃん(=壽一さん)が建てられたという、築96年の古民家におじゃましました。敷地は300坪、建坪は100坪ある大きなお家です。しかも、床の間、玄関、お庭、基礎、躯体など、すべての造りがとても立派で、大切に維持されているため状態もかなりいい古民家。 古民家好きの人からしたら、本当にうらやましいお家なのですが、Hさんにとっては子どものころから見ているので、これが当たり前で、昔は「単なる古びた家」と思っていたそうです。

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瓦には、壽一さんの「壽」という文字が↑

しかし、結婚後、奥様に「こんな立派な家はなかなかない! 絶対守らないと」と言われたのがきっかけで、少しずつ古民家への考え方が変わってきたそうです。今では、古民家の横に家を建てて、10年前からこの家を守ってきていらっしゃいます。「古民家の魅力を人から教えてもらいました」というHさん。お子さんが小学校に通い始めたころから、「子どもにもこの家を受け継いでもらいたい」と思うようになったそう。

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驚いたのは、Hさんの家に代々伝わっている「家系図」です。この家を建てた壽一さんが調べられたもので、なんとHさんは14代目! 息子さんは、15代目になるため、徳川15代と同じような歴史がHさんの家にも脈々と繋がっていることを見せてもらい、本当に感動しました。

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また、茶道具から始まり、火鉢、掛け軸、硯入れと、壽一さんのセンスの良さが光る品々が飾られています。床の間の造りで、「筆返し」という部位があるのですが、古民家鑑定の試験で勉強して名前は知っていても、Hさんのうちのように、今もそこに硯や筆が置かれ、こうやって筆が落ちないように・・・と、この「筆返し」があることを、実際に実物を見ながら改めて教えてもらいました。

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ほかにも、こんな大きな手水鉢を見たのは私も初めて。からくりの階段や、Hさんも畳を貼り替える時に気が付いたという、「床暖房」などなど、昔の人の知恵がいっぱい詰まった古民家。

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床暖房↑(右)

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↑からくり階段。

こんなお風呂の天井も初めて見ました!
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「梅雨時期が一番好き!」というHさんに聞くと、古民家はひさしが長いため、窓を開けていても、雨が入ってこないそう。だから、雨の日に縁側に座ったり、たたみに寝転がったりして、ゆっくり本を読んだり、雨を眺める時間が大好きだそうです。襖をとっぱらい、本当に開放感のある贅沢な空間で、私も何時間でもこの場所にいたい~♪と思う、すてきなお家でした。

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おもしろいものを見せてもらったのですが、これ何だかわかりますか?

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実は、「龍の子」、しかも「9番目」の龍の子なんです。9番目の子は、「ひき」と言われ、石を背負って生まれてきたため、歩くことができず、父親がかわいがったそう。そこで、可愛がる・・・ひいきにする・・・まいどごひいきに!という、「ひいき」は、この「ひき」が語源とのこと!! こんなおもしろい豆知識まで教えてもらいました☆ 

話しは戻り、休日は、「家の中は寒いから・・(笑)」といって、お庭にでてガーデニングを楽しんでいるHさん。中庭や裏庭にも、たくさんの花を植えていらっしゃり、それを見せてもらいながら、私自身本当に心が穏やかな気持ちになりました。

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Hさんに、古民家に住みたい、古民家を改装して住みたい!という人に、何かアドバイスはありますか?と聞くと、「今風に改装したら絶対に失敗するので、専門家に見てもらって古民家にあった改装をすべき!」とのこと。

古民家は、風の抜け道をつくって設計されているため、土間をつぶしたり、たたみをフローリングにしたりと、素人がよかれと思って改装すると、その数年後に傷みが出てくるので気を付けた方がいいということでした。

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これからも、この立派な古民家を、あと100年、200年と守っていってもらいたいと思います。Hさん、ステキなお家を見せていただき、本当にありがとうございました。Natsuko(2011・6・27)

Dreaming Story
「この古民家気になる!」「この人に会ってみたい!」という人は、お気軽に「おんなたちの古民家」までご連絡ください。

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